業界別M&A動向

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医薬品業界(製造)のM&A
キャピタル・エヴォルヴァーは、医薬品業界(製造)に精通した
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(1) 医薬品業界(製造)のM&Aの動向

国内外でM&A相次ぐ。各社はこれまでM&Aを軸にした成長戦略を描いて来た。2014年からは特に大規模M&Aで企業の構造を入れ替える動き。 今迄はがんや認知症など、有効な治療薬が見つかっていない病気の研究・開発を強化し、M&Aなどで成長戦略を描いて来たが、 今後需要が伸びるがんや精神疾患は発症メカニズムが複雑で、巨額の開発費を投じれば、画期的な新薬が出るという保証はなくなったため、成長のためのM&Aよりも、不要な事業を売却し、事業領域を集中するなど、構造入れ替えのM&Aが主流になっている。
欧米のメガファーマはジェネリック医薬品を巡って後発薬品メーカーと競合を激化。市場は縮小気味。 そこで各社は新たな収益の柱を模索し、再び統合や買収の動きを見せている。
また、日本企業も特許切れや海外企業との競合などの影響をうけ、厳しい環境になり、新興国に出て行き種まきをする必要が出て来たため、クロスボーダー(国際間)M&Aが行われるだろう。また、研究開発費の確保を目的に大型合併や海外企業の買収など、業界再編が進んでいる。 大手はジェネリック薬品メーカーの買収等による対応を見せる一方で、海外企業の国内メーカー買収も活発化。 中小メーカーには今後の動向を注目する必要がある。 卸は再編をして大手4グループに集約されつつあるが、地域卸の系列化推進で上位4グループへの一層の統合・集約が進むとみられる。

(2) 医薬品業界(製造)におけるM&A実行のメリット
<売り手のM&Aメリット>
  • 会社が存続する。
  • 従業員の雇用を守れる。従業員の家族の生活も守れる。
  • 大手の営業力、知名度を活用できる。財務基盤が安定する。
  • 負債から解放される。まとまった資金を手に入れられる。
  • 後継者問題から解放され、ハッピーリタイアができる。
  • 単独では海外進出が不可能な企業でも、他社との連携で海外進出も可能になる。
  • 不採算部門、ノンコア部門を生かしてくれる先に譲渡することで、まとまった資金を手に入れ、コア部門に資金注入できる。
  • 資金不足、人員不足により、ストップさせなければならなくなった研究も続けられる。
  • その他
<買い手のM&Aメリット>
  • 新しい顧客等を獲得でき、時間を節約できる。
  • 特許、契約、研究成果の獲得
  • 経営基盤を強化できる。一気に拡大できる。
  • 新しいエリアへの進出
  • 規模のメリットを享受できる(原価低減、間接コスト低減など)
  • 従来の外注業務の内製化による収益性の改善
  • 買収先のブランドを活用できる。
  • 優秀な人材の確保
  • その他
(3) 医薬品業界(製造)においてM&Aを実行する際のポイント
<医薬品製造>
  • 特許
  • 開発契約
  • 技術者、開発力
  • 研究ネットワーク
  • 病院とのネットワーク
  • 運転資金として収支ズレによる資金が必要になる。製造原価および売掛金サイトなどから必要資金を把握する。
  • M&A後必要になる可能性のある資金として、研究設備、生産設備、合理化設備の拡充がの必要、開発費等がある。
  • 新開発した薬品が1品目でもヒットすれば多額の投資の回収も可能であるが、中小製造業では投資回収には長年の月日を要する。
<和漢生薬製造>
  • 原材料は輸入に依存する部分も多いため、安全確保のためにきちんとした検査体制が構築されているかを確認する。和漢生薬には、歴史的な資料や解説、あるいは科学的データが存在する。
  • 好意的な評価や批判的な理論も含めて、需要者に提供するような姿勢がみられるか。
  • また国や大学の諸研究機関と情報交換を行い、和漢生薬の発展につなげるような取り組みをしている会社は望ましい。
  • 運転資金は、仕入は現金払いが多い一方、回収は手形もあるため運転資金借り入れが必要になることも。
  • その他、和漢生薬の成分と薬効について科学技術的解明のための研究開発資金などが必要になることがある。
(4) 医薬品業界(製造)関連のM&A等の例
  • 2014年富士製薬工業は三井物産と資本業務提携契約を締結
  • 2014年アルフレッサホールディングスは篠原化学薬品(高知)を完全子会社化M&A(株式交換、完全子会社化)
  • 2014年明治ホールディングスは子会社のMeiji Seikaファルマとグループ会社がインドの後発医薬品メーカーであるMerdreichをM&A(株式譲渡、完全子会社化)
  • 2014年協和発酵キリンは子会社Pro Strakan(英)は同国のArchimedes PharmaをM&A(買収)
  • 2014年大塚製薬は子会社であるニュートリションエサンテ(仏)がブラジルの健康・機能性食品最大手JasmineをM&A(株式譲渡、完全子会社化)
  • 2014年第一三共は、Ambit BiosiencesをM&A。そして、完全子会社であるCharge AcquisitionとM&A(合併)。
(5) 世界最大手医薬品メーカーのM&Aのケース

世界の医薬品企業に係るM&Aの年間件数・金額は世界最高に。(2014年11月現在)(ZEPHYR調べ) 規模拡大だけでなく、事業構造の改革をはかりながら特定の分野で競争優位を構築するためにM&Aをしている企業が多い。 当事会社の業態をみると、新薬メーカーだけではなく、一般医薬品、後発医薬品、試薬メーカーといった幅の広い層の企業がM&A市場に参入

医薬品メーカー世界大手の米ファイザーは、ノンコア部門の売却を行い(以下の表参照)、M&Aによる組織再編をしてきた。 しかし、2014年4月、英大手のアストロゼネカに対し10兆円(693億ポンド、11兆8500億円)を上回る規模のM&A(買収)を提示。 しかし、アストロは企業価値を過小評価していると主張し、これを拒否したままM&A(買収)を断念。 アストロは主力商品の総合失調症治療薬の特許切れなどで業績が低下していたが、 抗がん剤や糖尿病など豊富な新薬候補を有し、数年後にはこれが業績に寄与してくると言われているため、過小評価と判断。 このように買収は失敗に終わってしまったが、これは、ファイザーの組織再編が一定の効果を生み、攻めの姿勢に転じた事を示唆している。 ファイザーはアストロゼネカに対し、再度M&Aの提案をするとも言われていたが、 2014年11月、ファイザーは、ドイツの医薬大手メルクとと提携してがん治療薬の開発進める計画を発表したため、 ファイザーがアストラゼネカを買収する必要性は後退したとみられている。

このように、医薬品業界は、大型M&Aや提携が相次いでいる。

ファイザーによる子会社・企業売却
公表年 買い手 対象会社・事業 事業等概要 金額(百万ドル)
2011 KKR & CO LP ALPNVEST PARTNERS BV カブスゲル・ホールディングスUS ハードカプセル、研究開発用設備・機器、液体製剤の製造 2375
2011 バイオマリン・ファーマースティカル ファイザーのアイルランド・コーク州のシャンバリ−工場 生物製剤手大量製造施設 48.5
2012 ネスレ ファイザー・ニュートリション 乳児用ニュートリション事業(ベビーフード部門) 11850
2013 株式上場 ゾエティス アニマヘルス事業部門
日本の医薬品業界を巡るおもなM&A(2013-2014)
買い手 対象会社 (百万円) M&A形態
大塚アメリカ 大塚製薬子会社 アバニアファーマ シューティカルズ Inc. アメリカ 42,000 買収 IN-OUT
サン・ファーマシューティカル・インダストリーズ インド後発医薬品 ランバクシー・ラボラトリーズ 第一三共子会社のインド子会社、後発医薬品 332,480 買収(株式交換) OUT-IN
大塚アメリカ 大塚製薬子会社 アステックス ファーマシューティカルズ インク アメリカ バイオベンチャー 88,227 買収(TOB) IN-OUT
THE BARING ASIA PRIVATE EQUITY FUND V LP. 香港 ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア運営ファンド 武州製薬 医薬品・治験受託製造責任会社(東京海上キャピタル運営ファンド投資先) 77,300 買収 OUT-IN
アステラス製薬   マイトカイン アメリカ バイオベンチャー 70,868 買収 IN-OUT

日系企業と主要欧米企業の研究開発費を比較すると既に大きな差が生じていいる。 日本の大手医薬品メーカーでは、海外売り上げ比率が50%を超えている企業も多く、再編の進展によって欧米企業の規模が拡大するとともに経営効率が高まれば日本企業にとっては脅威になる可能性も出てくるだろう。

(6) M&Aをする際に気を付ける医薬品業界(製造)の関連法規等
  • 薬事法
    2005年4月の改正により、「製造販売業許可」と「製造業許可」にわけられて、医薬品生産を他社へ全面委託することが可能になった。 これにより、製造工場の分社やOEMの動きが盛んになった。
  • 医薬品医療機器等法(旧:薬事法)
  • 健康・医療戦略促進法、健康・医療戦略
(7) M&Aをする際に参考にする医薬品業界(製造)の経営指標平均数値
業態 粗利率 経常利益率 自己資本比率 総資本回転率
医薬品製造業 37.00% 10.00% 54.90% 0.7回
出典:帝国データバンク「全国企業財務諸表分析統計(第57版)
  • 医療、医薬品、福祉
  • 医薬品業界(製造)
医薬品業界(製造)基本情報
キャピタル・エヴォルヴァーは、医薬品業界(製造)に精通した
少数精鋭のプロフェッショナルがM&Aの支援を致します。
(1) 医薬品業界(製造)の基礎知識
医薬品製造
  • 高度医療や生活習慣病向けなど、医薬品需要の拡大にともない医療費負担は膨張。
  • 国は薬価負担の抑制策として低価格の後発医薬品(ジェネリック医薬品)への切り替えを促進している。
  • 売上高からみた日本の医薬品市場規模は10兆円を超えており、国別シェアではアメリカに次いで世界2位につけている。
  • たが、国内薬品会社は規模では大手欧米企業に劣る。
  • 多くの企業が営業利益率を10%を超える高収益企業だが、最近はこれまで収益を支えてきた
  • 高血圧症、脂質異常症、糖尿病の生活習慣分野の大型新薬の特許切れが起き、ジェネリック医薬品が拡大中で、高収益を維持できなくなる状況が日米欧の製薬企業で目立ち始めている。
  • 政府は2013年に策定した「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマッップ」に基づき、2018年までのシェア目標60%以上を目標としている。
  • ニーズにあった新製品の投入だけでなく、新興国市場開拓に注力。
和漢製薬製造
  • 患者一人ひとりの体質・症状に応じた処方を用いて治療する漢方はまさに個別医療に適うもの。
  • 加齢に伴い低下する生体機能を以下に維持・回復させるのかも大きな課題であるが、漢方・生薬の処方はこの面でも効果が高いと考えられている。
  • 漢方薬・生薬の市場は急激な拡大はないものの、緩やかに拡大していくである。一般用漢方製剤や生薬製材は継続して広く用いられてる事も追い風。
(2) 医薬品業界(製造)の動向

2014年4月、2年に1度、薬価改定が行われ、後発医薬品への置き換えが遅れている長期収載品(特許がきれた先発医薬品)の薬価引き下げ幅が拡大された。 これにより、後発医薬品の普及促進が強まる見込み。 国内市場での売上げは頭打ちとなり、長期収載品を収益の柱としてきた製薬各社は新薬開発、後発医薬品市場への参入や新興国市場拡大などが緊急課題。 国内大手は特許切れによるビジネスの落ち込みを補うなうため、新興国への進出を急ぐ。 新薬開発投資は、疾病領域へ集中させ、ワクチン市場拡大を見据えた事業展開も本格化した。 その投資や海外の販売促進費の負担増などが収益の頭打ち感を強めている。

欧米のメガファーマはジェネリック医薬品を巡って後発薬品メーカーと競合を激化。市場は縮小気味。 そこで各社は新たな収益の柱を模索し、再びM&A(統合や買収)の動きを見せている。

高タンパク質を主成分として、生態がもつ免疫反応を利用して治療を行う意医薬品を抗体医薬品という。 欧米では頭打ちになった従来役(低分子医薬品)のかわりに開発競争が進み、2012年には売上トップ10製品中5製品をしめ、 2013年には75%の近くをしめた。 日本では中外製薬が売上でトップ。追従する協和発酵キリンも海外の会社を買収し、欧米の自社販路を拡大したりと、各社競争が行われている。

(3) 医薬品業界(製造)の市場規模
業界規模
  • 医薬品生産額:6兆8940億円(2013年、厚生省、薬事工業生動態統計調査) (うち、医療用医薬品が6兆1939億円、一般医療品が6774億円、その他医薬品が7000億円)
  • 厚生省は、新医療用医薬品として2014年に60の新有効成分を承認。2013年の31成分から倍増。
(4) 医薬品業界(製造)のプレイヤー
海外トップメーカー
世界順位 会社名 売上 営業利益 備考
1位 ノバルティス 505億ドル   スイス 1996年にスイスのチバガイギーとサンドが合併。
6位のグラクソ・スミスクラインから抗がん剤事業を約145億ドルで買収。また、グラクソ・スミスクラインと大衆薬統合会社を合弁で出資。
2位 ファイザー 443億ドル   アメリカ 4位のメルクと提携してがん治療薬の開発進める計画
3位 サノフィ 381億ドル   フランス 日医工と資本・業務提携
4位 メルク 363億ドル   アメリカ 買収で事業拡大
5位 ロシュ 361億ドル   スイス 中外製薬と企業グループ形成
6位 グラクソ・スミスクライン 325億ドル   英国 ワクチンに強み。1位のノバルティスからワクチン事業を買収。
7位 ジョンドン・エンド・ジョンソン 307億ドル   アメリカ 傘下にヤンセンファーマを持つ。
8位 アストラゼネカ 302億ドル   英国 1999年に米国ゼネカとスウェーデンのアストラが99年に合併。
1位のノバルティスの買収提案を拒否
9位 テバファーマスーティカル・インダストリーズ 242億ドル   イスラエル 後発品に注力
10位 イーライ・リリー 230億ドル   アメリカ 糖尿病薬大手
国内新薬メーカー
国内順位 会社名 売上 営業利益 備考
1位 武田薬品工業 1兆6916億円 1392億円 日本 2008年5月にミレニアム・ファーマシューティカルズ(米)買収。2011年にナイコメッド買収。生活習慣薬で国内シェア堅持。
外国人社長を迎え、新興国への進出を急ぐ。
2位 大塚ホールディングス 1兆4527億円 1987億円 日本 食品、飲料事業も。主力薬の特許切れに備え、研究開発費を積み増し。中枢神経、循環器領域が伸長
3位 アステラス製薬 1兆1399億円 1168億円 日本 医療品医薬品に特化。移植・泌尿器疾患や抗がん剤の領域に集中。
4位 第一三共 1兆1182億円 1115億円 日本 2006年、アステラス製薬からゼファーマを235億円で買収。
ランバグシー(インド)を実質サン・ファーマに株式交換で売却。新興国戦略を練り直し。高血圧症治療薬など国内売上続伸。
5位 エーザイ 6003億円 711億円 日本 抗体薬に強み。癌領域などの新薬育成と新興国開拓に注力。認知症と、潰瘍薬を世界展開。
6位 中外製薬 4236億円 787億円 日本 スイスの世界5位のロシュが買収
癌領領域など新薬候補充実。抗インフルエンザ薬タミフルを販売
2004年ライオンに大衆薬事業を売却。
7位 田辺三菱製薬 4126億円 591億円 日本 抗リウマチ薬が主力。三菱ケミカルホールディングス傘下。
8位 大日本住友製薬 3876億円 421億円 日本 中枢神経領域に強み。住友化学傘下の医療品医薬品メーカー。
9位 協和発酵キリン 3406億円 517億円 日本 抗体薬に強み。癌領域などの新薬育成と新興国開拓に注力。認知症と、潰瘍薬を世界展開。癌領域などで最先端バイオ技術を駆使。
10位 塩野義製薬 2897億円 635億円 日本 抗生物質トップ。抗生物質で中国市場へ参入。
一般医薬品メーカー
会社名 売上 営業利益 備考
ロート製薬 1438億円 168億円 日本 スキンケア商品で化粧品市場へ参入。OCTアイケアブランドの年間売上NO1でギネス世界記録に登録
ゼリア新薬 620億円 68億円 日本 医療用医薬品は消化器系が中心
エスエス製薬 438億円   日本 一般用医薬品専門メーカー
佐藤製薬 381億円 38億円 日本 栄養ドリンク「ユンケル」で知られる。
ジェネリックメーカー
会社名 売上 営業利益 備考
テバ製薬     日本 世界NO1ジェネリックメーカーのテバファーマズーティカルインダストリーズ(イスラエル)の日本拠点
日医工 1036億円 74億円 日本 自社開発の医薬品をもつのが強い。
沢井製薬 898億円 191億円 日本 大手ジェネリック専業メーカー
東和薬品 614億円 77億円 日本 薬局との取引拡大に意欲
富士製薬工業 252億円 33億円 日本 海外進出が復調

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